太平洋沿岸から来客
となるとやはり鉄板にご案内
ホルモンって鉄板で食べるんスカ
網で焼くんじゃないんスカ
の声に
網だったらうどん焼できないでしょ
えっ
焼うどんスカ
焼きそばじゃないんスカ
焼きそばじゃないし
焼うどんでもないし
うどん焼だし
と答えを返さず
ちょうどフクイの境界線をまたごうとしていた
名人を境界線から呼び戻す
快く会場まで引き返してきてくれた名人
名人にだけ与えられる M の帽子が神々しい
2枚ある鉄板のうち
こっちの鉄板借りますね
の言葉と共に
数滴ゴマ油を垂らし
しっろい麺を投入
いわゆる
ホルモン焼きにうどん入れて
ホルモン味の
ホルモンのタレの
ホルモンうどんではないのだよ
ホルモンを食べ終えて
全部さらえた鉄板で料理する
うどん焼なのだよ
何十年も蓄積された染み込んだ
鉄板自体が調味料なわけなのだよ
なので鉄板の数だけ
うどん焼の味が存在するのだよ
そしてこの後はただひたすらでもなく
放置でもなく
餅を突く時の合いの手のように
程よい合いの手でリズミカルに中心を
時計の反対回りに回す
鉄板に入れたのはしっろい麺以外には
塩コショウはもとよりなんの調味料も入れず
最初のゴマ油数滴と名人の愛の手のみ
で
仕上がりはこう
そうここのうどん焼は
琥珀色に輝く麺
そして味は
もちろん皆が無言で名人に乾杯
そして名人は
高速で口に運んだ串焼きを
コーラで流し込み
フクイの境界線をまたぐべく
帽子をくるっと回し
Mの文字を後ろに向け
さって行った
ありがとう名人
またもてなす来客の際にはよろしくです
もてなされたい方はぜひご一報ください
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